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2008年10月07日

ああ言えばこう(嫁)行く / 檀ふみ、阿川佐和子(集英社)

image 先日,Japan Club から借りてきた本。ごくごく軽い読み物で,どうやらこの本の前に同じようなスタイルの本を出していて,それがけっこう売れたので『柳の下のドジョウ』を狙って企画されたものらしい。

著書であるお二人の名前はもちろん知っている。しかしそれぞれの著書を読んだことはまだ無い。私生活でも親友であるお二人らしい。阿川佐和子さんは現在毎日楽しんで聞いているポッドキャスティング『大竹まことのゴールデンラジオ』の月曜日放送でそのお声と話し振りからそのお人柄を想像している。

まず、あるテーマで一方が自分の思うところを書き,それを読んだもう片方がそれに賛成したり文句を付けたりする。次のテーマでは攻守ところを変えて異なる意見を述べ合うという形で、書簡による対談集といったおもむきがある。

面白いところも多々あるのだが,読み手のウケを狙っているのがあからさまでシラケることも多かった。きっと一冊目の方はもっと自然で面白かったのではないかと思う。なんでも二番煎じというのは難しいものだ。(^_^;) わたしが思わず笑ってしまったエビソードを一つだけ引用しておく(p.224)。

「あひ見ての後の心にくらぶれば
      むかしはものを思はざりけり」

王朝時代、オンナはオトコに顔も見せなかったんだからね。「逢う」とか「見る」ってことは、すっごいことだったのよ、ただの「逢う」や「見る」だけじゃ済まないわけ。........つまり,その,アガワさんのお好きな「めくるめくル」世界なのである。私のヒントに,みるみるアガワの目が輝き始めた。
「要するにィ『あい見て』ってことは、『あい見ちゃって』ってことでェ....」
「そうそう、王朝時代だからねェ」
と、私は友を励ます。
怖じず臆せず,アガワは訳し始めた。
「だからァ、『あひ見』ちゃったあと、ああこんなに気持ち良いことだったなんて,思えば,むかしは何も知らなくて,損したなァってこと.....かな?」
私は,笑いましたね。のたうちまわって笑いました。狭い通路をドタバタと走って,涙が出るほど笑いました。初めて契りをかわしたあと,さらに深まる「逢いたい」という切ない思いを,よくもまぁこのオンナは,こんな打ちつけな,はしたない言葉で言いあわらしてくれるもんだ。
私が彼女のことを『愛欲のアガワ』と呼び始めたのは,それからのことである。
(2008年10月3日読了)