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2008年10月08日

ポルノグラフィカ / 島村洋子著(中公文庫)

image 続いて Japan Club からお借りしてきた本。この女流作家の名前も知らなかったし,もちろん彼女の作品を読んだのはこれが初めて。正直に言うと,表題にひかれて読んでみようと思ったのだった。(-_-;)

なんとも不純な動機から読んでみようかなと思ったのだが,それがこの作者の狙ったところだったら、してやられたことになる。

別れた時に男が言った言葉『十年たったらまた逢おう』の約束通り、彼から航空券が送られてきた。南のある島でその男と再会して過ごした,一週間の彼女の行動と心の動きが一日一章の単位で綴られている。

エロチックなものに対する期待で読み始めた本だったが,読後感はかなりさわやかなものだった。これはこの作家の力量だ。もちろんかなり大胆で直裁な描写はあるのだが、文体とそれが醸し出す空気感が軽やかでさりげなく、わたしに気持ちのよい浮遊感を感じさせてくれた。

(2008年10月6日読了)