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2008年11月23日

魂萌え!(たまもえ!)/ 桐野夏生著(毎日新聞社)

image Japan Club からお借りした本。このカバーがいかにもという感じでちょっと気恥ずかしかったから読んでいる間は外しておいた。本体の方もピンクが主体の表紙だったがちょっと控えめだったのだ。(^_^;) 読み終わるまでにちょっと苦労した本。

桐野夏生というこの作家の著書を読むのは今回が初めて。「なつお」という名前からは男性だと思えたのだが、それにしてはこの単行本の表紙の色調がちょっと....と思って Wikipedia で調べたらやはり女性作家だった。(^_^) この著者に関する Wikipedia の記載は興味深い。

実は、この本を読み始めてすぐになんだか気持ちが暗くなってしまって、それでも苦労しながら半分ほどまで読み進んだのだが、ついに一度中断してしまった。女性作家にありがちの、これでもかという執拗さにやりきれなさを感じたのだ。楽しみで読む小説なんだから別に最後まで読まずに投げ捨てても良いだろうと思ってしまった。

だが二日ほどたって、また手に取ってみるとそんなに悪くもないと思えてきた。そのあとは一気呵成に読了である。こういう現象も面白いものだと自分でも思った。きっとそのときのわたしの精神状態にも関係しているのだろう。

最後になったがこの本の内容は、夫が急死して残された59歳の妻に一度にたくさんの問題が降りかかってくるところから話が展開していく。それまで家庭の主婦として俗世間から隔離されたような生活をしていた妻が、様々な心の葛藤を経て自分に目覚めて、強く生きていく心境に成長したところで小説は終わっている。

途中ではグジャグジャとした人間関係を読んでいくうちに疲れを感じたのだが、最後は今後の彼女の生き方に明るい光を感じさせる終わり方だったのが救いだった。全体を通した調子はやはり女性でなければ描けないだろうなぁ、と思わせる部分が多かった。

(2008年11月23日読了)