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2008年12月08日

誰にもありそうな青春の思い出

こちらのエントリを読んでわたしも思い出した事があるので、それを書いてみる。北杜夫氏の「どくとるマンボウ・シリーズ」は余り読んでいないが「どくとるマンボウ青春期」は確かに抱腹絶倒の本である。また、読んでみたいなぁ。

もう何度も書いているがわたしは歌うたいの道に入る以前は、まっとうに高専で化学を専攻していた。その時代の話である。我々は英語の文献を読めなくてはいけないという趣旨で、普段の英語の授業の他に化学英語というような時間があった。これは今振り返ってみても余り面白い授業ではなかった。

わたしの親友の一人にH君というのがいて、彼がある日の授業の時にうつらうつらと気持ちよさそうに眠っていたと思って欲しい。それをめざとく見つけた先生が、安らかに眠らせておけばいいものを「じゃ、ここの部分を、H、訳してみろ」と名指しした。さあ、大変。

慌ててHくんの隣に座っていた学友が彼をつついて起こす。快い眠りから残酷にも起こされたH君は一瞬キョトンとした表情。隣の学友が訳すべき箇所を指さして「先生がここを訳せと云ってるぞ」と小声で教える。もうその文章は忘れてしまったがその中に "Rose" という誰でもが知っている単語があった。H君が夢うつつのまま「え〜、Roseは.....」と言ったとたんに、隣の学友が気を利かして「Roe はバラで...」とささやいた。このときになってもまだはっきり目が覚めていないH君はそのまま「え〜、ローズはバラで.....」と復唱してしまった。先生がすかさず「そうだそうだ、ローズはバラだ、間違いない」とやったから教室は爆笑の渦になった。

このH君にはもう一つのエピソードがあって同級会で集まると必ずこの話が出る。彼は一本気で大変気のいい男である。そして話し声がでかい! これも化学英語の授業の時であるが、彼が指されてある文献を訳していた。その中に "ultraviolet rays" (紫外線)という言葉が出てきた。この単語に詰まったH君、一瞬の逡巡のあとパッと目が輝き、とてつもない大きな声で「超〜すみれ色の....」と「超」に大きなアクセントを付けた口調でやってしまった。一瞬凍り付いた教室の空気が次の瞬間には大爆笑。その後、卒業するまで彼はことあるごとに「超すみれ色のH」と呼ばれ続けた。その頃は東京オリンピックの前後で体操競技のウルトラCが話題になっていた時代背景があったのである。

最後にHくんの名誉のために書いておくが、彼は卒業後、財閥系の化学会社に就職してバリバリ活躍していた。孫が生まれたと風の便りに聞いている。