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2009年01月30日

ハラハラ、ドキドキ

今朝、英語堪能な首相、オバマ大統領と通訳なしで電話会談 : 政治 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)を読んで、ハラハラしてしまった。

わたしは30年以上ドイツに住んでいて、通訳、翻訳というのはとても難しいことだと認識している。それを滞りなくできるためには、ある一定の学力を持った人が努力して得る語学力(豊富な語彙数、基本的な文法など)というのはもちろん最低条件であろう。

しかしそれだけでは事が済まないのが通訳、翻訳である。その背景にある民族的な文化、そして歴史的な背景をも持ち合わせていないと、的確で柔軟な通訳、翻訳は不可能なのだ。自分は当たり前のことを話しているつもりで、相手にはまったく伝わっていなかったり、相手を傷つけたり、ということは良くある話である。

そこで今日の YOMIURI ONLINE ニュースなのだが、麻生首相はとても危険なことをしていることに気がついておられないようだ。仮にも一国を代表する人が「英語が堪能」だと周りから持ち上げられて、子供のように嬉しがっているようにしか見えない。

もし言葉尻でもとらえられたらどうするのか。そのツケは全日本国民に跳ね返ってくるのだ。ごく簡単な挨拶ぐらいはお祝いの意味も込めて英語で伝えるのもいいだろう。しかしことテーマが外交に移ったら、そこは専門の通訳官に任せるべきである。最近かまびすしい官僚批判もけっこうだが、頭のいい専門職官僚を使うのはこういう時。

返す刀で切ってしまうと、今回の YOMIURI ONLINE の記事もそうだが、こんな時のニュースの調子は首相と一緒になって舞い上がっているように受け取れる。マスメディアに携わっている人たちはこの辺の認識を強く持って警鐘をも鳴らして欲しいものであるし、それをしなくてはならない責任もある。第二次世界大戦時のマスメディアの犯した誤りを繰り返さないで欲しい。

ヨーロッパ諸国の首脳会談などをみていると、その国の首脳達は全て自分の国の言葉で、通訳付きで語っている。彼たちの中にはもちろん語学の達者な連中も多いのだが、それが命取りになる場合もあるのだ。国同士の外交というのはそれほどに微妙であるし危険でもある。まさしく「繊細さ」と「大胆さ」を併せ持つ人に委ねなくてはならない。母国の首相に関するこれまでの報道を見ていると、なんとも不安に駆られるのである。