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2009年06月05日

"Aida" のゲネラルプローベ(長文)

金曜日・晴れ / 外気温20度
6時半起床。ちょっと気に掛かることがあって睡眠時間そのものも少なかったけれど、いつもよりずいぶん早く目覚めてしまった。我ながら神経が細いと思う。まあ、一日が終わってみればどうと言うことはなかったのだけれど。

長女とブリギッテの健康状態もあったし、今年もトスカーナの別荘を使わせてくれるという提供があったから、日本に帰国する予定にはしていなかった。しかし、恩師が今年は94歳になるということで、出来れば元気なうちに顔を見せに帰ってきて欲しいと言う。

長女とブリギッテの手術日程がすでに決まっているわけではない。ここ数ヶ月の間にということもなさそうである。それならば、トスカーナ行きを止めて恩師の顔を見に行っておいた方が、あとあと悔いが残らないだろうと考えた。そこで昨夜は格安航空券の検索をしていたのである。

8月初旬に帰国することにして適当な航空会社に申し込んだ。そのあと、わたしの Email アドレスに承認書が送られてくるはずなのにそれが届かない。妙だなと思いながら眠くなっていたので昨夜はベッドに入ってしまった。それがよく眠れなかった原因なのである。朝6時半に起きて調べてみたら、何のことはない、スパムメール・フォルダに分類されてしまっていた。ちょっと考えれば気がつきそうなものを。(汗)

今夜は "Aida" の公開ゲネラルプローベがあるのに、午前中に La Traviata のオーケストラ合わせが入っていた。これまで、こういうタイトな練習日程というのはなかったと思う。夜にゲネラルプローベがある時にはその前に練習は入らないものなのだ。今回は Violetta 役に Angela Gheorghiu 、Alfredo 役に Jonas Kaufmann 、Giorgio Germont 役に Simon Keenlyside 、そして指揮者に女性の Keri-Lynn Wilson というガラリと変わった陣容だから仕方がなかったのだろう。

夜のゲネラルプローベのことを考慮して合唱の部分だけを優先してやってくれたから一時間ほどで解放された。わたしは Angela Gheorghiu Jonas Kaufmann も初めて聴くのだが、両者ともさすがと思わせる歌唱を披露してくれた。特に Angela Gheorghiu に関しては歌に関係ないいろいろな噂が耳に入っているからあまり好印象は持っていなかったのだが、歌唱それ自体は素晴らしい。アリアを聴いたわけではないので100%の礼賛を贈るのはまだ控えるが確かなフォルムで魅力のある歌唱だった。ただ、彼女の立ち居振る舞いはまさに "Diva" と言えるだろう。世界は自分を中心に廻っている、と宣言しているようだ。(汗)

Jonas Kaufmann は CD で聴くよりも生の方が素晴らしい。まだ若いし、体型もスリムでこれから頂点を極めるものの勢いが感じられる。願わくはあまり歌い過ぎずに、声に合わない役を断る勇気を持って精進して欲しいものだ。それでつぶれたテノール歌手は過去に何人もいる。

このプローベが終わったあと、わたしは Festspiel 開幕の時に行われるミサ曲の練習に参加。今年は F.Schubert の C-Dur Messe (D452-oo.48) である。ほとんど難しい箇所のないミサ曲なので問題なし。帰宅は一時を過ぎていた。

昨日から一週間の休暇を取っているブリギッテが昼食を作っていてくれて、テラスでの食事となった。太陽に当たっているとまだ心地よいのだが、日陰に入るとちょっと寒い。この差に身体がついていくのは大変なのである。ヨーロッパに住む老人達が夏でも分厚いコートを羽織っている理由がだんだんわかるようになりつつある。(-_-;) 食事のあとすぐにベッドに入って一時間の昼寝。このリセットでまた元気になった。

image 6時から始まる "Aida" のゲネラルプローベだが、ブリギッテがわたしの楽屋の同僚達へと クルミの入ったケーキを焼いてくれた。それを抱えて劇場の正面玄関を通りかかると凄い数の人が列を作っている。公開ゲネラルプローベの切符を求める人たちのようだ。やはり、 "Aida" は人気があるのかな。

"Aida" 役の Kristin Lewis は今日も声を出さずに演技だけ。舞台脇で別のソプラノが歌っていたがたぶん初日には歌うだろう。わたしは休憩に入る前で出番が終わり、帰宅を許された。(^_^)

最後に、 アイーダの Hauptprobeで、IIZUKA T さんが Gatti に関してコメントを付けてくれたのだが、同僚がそれに関する噂を教えてくれたので報告しておく。彼はチューリッヒの歌劇場と2012年のシーズンまで契約を取り交わしたそうだ。そして、ケント・ナガノ も2012/2013年でミュンヘンとの契約が切れるので、その後任として2013年のシーズンからミュンヘンの音楽監督になるのではないか、という話である。裏をとったわけではないので、あくまでも噂話ということで........。(笑)