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2009年12月15日

ミュンヘン → パリ

火曜日・パリ 6時半起床。今日は10時35分発の Lufthansa 機でミュンヘンからパリへ向かうので早起き。今夕はパリのシャンゼリゼにある劇場でLa Bohème の演奏会があったのだ。一日の間にこれだけの空間移動があると、ちょっと時間の感覚が薄れる。忘れないうちに書いておかなくてはと、16日夕方に帰宅してすぐにMacに向かった。今回は一晩だけの留守だから MacBook Pro 15(Mid 2009)を持って行かなかったのだ。

まだ外が真っ暗な時間に起床。朝食のあと、出勤するブリギッテと一緒に8時発のトラムに乗る。わたしは Rosenheimerplatz で下りて空港行きの S-Bahn に乗った。飛行機の出発は10時35分だから時間はタップリだが団体旅行の場合にはかなり余裕を見て行動させられるのは仕方がない。

この夏以来の飛行機の旅で、日本人同僚の U さんと隣り合わせの席に乗る。日本語で話しながらパリまでの1時間35分の飛行はあっと言う間だった。普段は日本人同僚と纏まって話をする時間というのはなかなか無いものである。

空港からホテルまではバス。世話係の人が慣れていないのかバスまでの誘導とかその他の連絡でかなり手間取った上に、折からの渋滞でホテル着は予定よりも一時間ほど遅れた。ホテルは北駅の真ん前にある Mercure Paris Terminus Nord という古いホテル。部屋の鍵を受け取って自室に入る。

わたしの部屋は階の240号室だったのだが、ここへ辿り着くまでにクネクネと曲がった廊下を歩いていく。歩いているうちに方向感覚は全くなくなる。こりゃ、火事でもあったら非常口を見つけるのは難しいな、とそんなことが気になった。荷物を置いてから食事をしに外へ出る。

この日のパリは太陽が照ってはいたが、寒い。そしてヨーロッパの大きな駅の周辺は何処の国でもそうなのだが、あまりきれいではないしちょっと危なげな独特の雰囲気がある。フランス語は全く話せないし理解も出来ないから、数軒の店を覗いた末に比較的客の入っている中華料理屋に入った。ケースの中にすでに出来上がった数種類の料理があって、それを選ぶ形の安易な店である。見ていると料金の支払い時もディスプレーにきちんと値段が出るから、ぼられることもないだろうと思った。味の方はまあまあで10€以下という値段だったらこんなものだろう。

若い同僚達は夕方までの時間を楽しもうと、早速街へ出掛けていったようだが、わたしは眠くもなってきていたのでホテルに戻り40分ほど仮眠を取る。夕方5時にホテルの前からのバスに乗って今夜の演奏会会場である シャンゼリゼ劇場へ。演奏会は20時開演だったが、18時から音出しのプローベがあったのだ。

ホテルから劇場まではほぼ 5Km ぐらいの道のりだったのだが、暗くなりかけたパリの街の美しさに目を奪われた。まず感じ入ったのは道路脇に並び立つ建物の品格の高さ。これらを作るための富をパリに集中出来たという当時の支配者の圧倒的な力をまざまざと感じさせられた。第二次世界大戦でドイツ軍の爆撃を免れた街並みをこうして今、眺めることが出来るのは本当に幸運なことだと思う。ドイツ人の同僚が説明してくれたところに寄れば、ヒットラー中枢部が命じてきたパリ爆撃を、パリ駐在のドイツ軍首脳部が無視した結果だそうだ。

コンコルド広場に近づくにつれて沿道にはクリスマス前のイルミネーションが目立ち始める。このイルミネーションの規模も実に雄大で、白一色の光の行列には気品さえも感じられる。ここまでのことが出来るのはやはりパリだからだろう。わたしは素直に感動した。

18時から始まった音出しはかなり念入りに、ほとんどゲネプロかと思うくらい長い時間を掛けていた。20時から始まった公演は舞台から見た限りでは満席。合唱は一幕と2幕の切り替え時に入場。休憩のあと第三幕も少し歌う部分があるのでまた舞台に乗った。3幕を終わった時点で合唱は退場である。

同僚達は短い時間ではあるが夜のパリを楽しむために早々と散っていったが、わたしは今回お会い出来るかもしれなかった Verdiano さん を待つために第四幕を舞台の袖で聴く。Verdiano さんは随分前からわたしの Blog にコメントを寄せてくれている方でパリ在住の日本人で音楽愛好家(多分男性)ということしか知らなかった。音楽面でのコメントばかりではなく経済・社会一般の的確なパリ情報をを伝えてくれる方である。先日のコメントで今夜の演奏会を聴きに来てくれるということを知ったので、もしかしたら終演後にお会い出来るかもしれないという希望を持っていた。

カーテンコールが終わり、オーケストラの連中が舞台から引き上げてきたのを潮時に、劇場の表玄関に立ってみた。客がぞろぞろと出始めてきてしばらくして、日本人と思われる方がわたしを見つけて声を掛けてくださる。良かった!待っていた甲斐があった。(^_^)

わたしはオーケストラの連中と一緒にバスでホテルまで戻らなくてはならないし、 Verdiano さんも明日のお仕事がある身だからほんの5分ほどの立ち話だったが、本当にお会い出来て嬉しかった。彼が次回ミュンヘンにいらっしゃったときにはゆっくり時間を取ってお話ししましょうと約束して、今回はお別れ。

ホテルへ戻るバスの中から、セーヌ川河畔のライトアップされた美しい建物群と30分ごとに変わるというイルミネーションが輝くエッフェル塔を見ながらホテルに戻ったときは23時を過ぎていた。ホテルの近くのケバブ屋さんで皿に盛られたケバブ料理を食べたが、ケバブ料理はミュンヘンの行きつけの店の方が遙かにおいしいと思った。(^_^)