« 2010年7月の歩行記録 | Main | ゆったりとした夏休みの一日 »

2010年09月03日

定年退職者を送るとき

日本の会社・組織で定年退職者を送る場合には、在職者達が会費を出し合って宴会を開き、なにがしかのプレゼントも贈るのが普通であるようだ。それには幹事役がいてその費用を在職者から集金をするのだが、その額がその時点での役職によってずいぶん差があるらしい。それについて、日本の習慣とわたしの周囲で行われている形との違いを書いてみたくなった。

文化、社会の相違と言ってしまえばそれまでなんですが、わたしの周りでは (たぶんドイツではと言い切ってしまって良いとは思うのですがそこまでの責任は持てません)、管理職だったか、平社員だったかには関係なく、その当事者 (退職者) が自分の費用で 宴会なりパーティを開いて、上役なり、同僚なりに参加していただくのが普通です。

パーティに招かれた人たちは、なにがしかのプレゼントを持って行くのが普通ですが、幸いにも「現金で」という習慣はありません。ですから貰って「なんじゃ、これ?」と思うものもありますが、それはプレゼントしてくれた人の性格、ライフスタイルなのですから、そういうものだと感謝を込めて戴くだけです。

必然的に何万円もするプレゼントなどは無粋と思われるだけで逆効果ですから、どこかにエスプリが感じられる、ちょっとしゃれた、貰って負担に感じないものが最良のプレゼントとなります。これは現金を贈るよりもはるかに難しく手間も掛かることです。

以下に書くのはオペラ劇場内の合唱団という組織内での形態ですが、ドイツ国内における一般の会社組織でも基本的には同じ形だと思います。

わたしの所属する合唱団でも毎年のように定年退職者が出ます。当事者は普通、合唱団全員を招いて劇場内のカンティーネとか街なかのレストランを借り切って「お別れパーティ」をします。また、楽屋の並んでいる廊下に軽食を用意して簡単な立食パーティ式の時も多いです。その規模の大小は全く自由なもので千差万別。質素なものもあればちょっと張り込んだな、と思えるものもあります。

招かれた団員達は行きたい人は出席すれば良く、あいつは嫌いだと思う人は行かなければそれで済んでしまいます。退職者個人と仲の良かった人たちは個別にプレゼントする人もいて、それはその人達の自由裁量。それでも金額にすれば20〜30ユーロくらいでしょう。普通は手ぶらで参加し、飲み、食い、談笑してそれでお終いです。味気ないと言えばその通りなのですが、わたしはこの簡素で自然な形が、送る人、送られる人の生活、精神に負担が掛からない方法に思えます。

上に書いたことは東西事情の相違というだけで、どちらが良いとか悪いとかいうことではありません。わたしがもし日本の社会で生活していたら、いろいろと考えることはあっても、日本の慣習に従っていることは間違いない筈です。(^_^)