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2011年05月31日

タイムスリップ

ここ数日、日本映画を観ている。ソースは Apple TV でレンタルしたもの。昨日は「引き出しの中のラブレター」、今日は「天国の本屋〜恋火」を観た。

この映画、2本とも丁寧に作られていて好感が持てる。日本人の映画監督が「恋」をテーマに映画を作るとこういう調子になるのかと面白い。両方に共通しているのはいい意味でのウェットさ。ただ、これが続くとちょっと鬱陶しいと思うかも知れない。

そしてこの2本共に、わたしが30年以上も見ていなかった俳優達が歳をとった姿で画面に現れていてショックを受けた。最後に出てくる配役名を目で追っていて 「エッ、あの俳優が出てたのか、しかしどの役で?」と驚き、改めて見直すことが数回。

わたしの映画俳優の記憶は30数年前でストップしていたから、俳優達のそれなりに老いた姿を見て未来へタイムスリップしたような感覚を持った。

「引き出しの中のラブレター」では仲代達也、西郷輝彦、今日観た「天国の本屋〜恋火」では原田芳雄、鰐淵晴子。特に鰐淵晴子の場合はわたしの記憶に残っているのとはまったく別人で驚いた。改めて映画を巻き戻しその場面を捜して見入ったけれど、言われなかったら絶対分からなかったろう。なにやら晩年のソプラノ歌手、ルチア・ポップに似た女優さんだなと思って見過ごしていた。(^_^;)

それと、昨日の日記にも書いたのだが、その昔には美しかった女優、八千草薰、香川京子、の2人の現在の姿もショックだった。2人とも今でも年齢相応には美しいのだが、若いときのイメージが刷り込まれていたわたしには辛かった。これは30数年という空白があるからそう思うのだろう。原節子がプッツリと映画界を去ったのはこの意味では正解だった。

総じて、その昔に美男・美女だった俳優さん達の現在の姿には驚きを感じたけれど、性格俳優と言われていた人たちはすぐに「あの俳優だ」と気がついたし、彼たちを観ていて時間の残酷さは感じなかった。例えば見事な禿頭になっていた桜井センリとか、伊東四朗、吉田日出子といった俳優さんには良い年の取り方をしているなぁと感心させられた。そのプラスマイナスを考えるとき、時間の流れは全ての人に平等である。

とにかくこの2本の映画は良くも悪くもわたし自身を振り返らせ、老いを確認させてくれた。それにしても日本語で語られる台詞は素直に心にしみ込んでくる。こういう邦画をドイツのわが家に座ったままレンタルできるというのはありがたい時代になったと感謝したい。

次は「60歳のラブレター」を観る予定である。(^_^)